
ADHD診断を受けて感じた良い点と悪い点
ADHDの診断を受けた経験は、私に多くの気づきを与えました。
エンジニアという職業は、新しい技術を扱いながら高度な集中力を求められます。
しかし私は、長時間の集中が難しい場面に何度も直面してきました。
その原因を理解するために受けた診断は、良い面と悪い面の両方を伴うものでした。
以下では、私自身の体験をもとに、その影響を丁寧に整理していきます。
自己理解が深まったことの意義
ADHDの診断を受けたことで、私は自分の特性を改めて知りました。
以前の私は、注意が散りやすい自分を「怠惰なだけ」と決めつけていました。
しかし実際には、脳の特性として注意がそれやすい傾向を持っていたのです。
この理解は、自分を許す大切なきっかけとなりました。
自己否定が減ることで、精神的な負担が軽くなりました。
また、自分がどの状況で集中を失いやすいのかも把握できました。
その結果、生活や仕事の中で無理のない工夫ができるようになりました。
対策方法が明確になったことも大きな利点
診断後のカウンセリングでは、具体的な対処法を学びました。
代表的な手法としては、短時間集中を繰り返す方法があります。
いわゆるポモドーロ・テクニックは私に合っていました。
タイマーを使って集中することで、気が散る前に区切りをつけられます。
また、作業環境を整えることの重要性も理解しました。
机の上の視覚刺激を減らすことや、音を遮断する工夫が有効でした。
ノイズキャンセリングイヤホンの使用も効果的でした。
これらの工夫によって、業務効率は確実に向上しました。
ADHD診断による負の側面について
一方で、診断を受けたことで不都合もありました。
最も大きかったのは、周囲の偏見とスティグマの存在です。
エンジニア業界では、集中力や論理的思考力が重視されます。
そのため「ADHDは仕事ができない」という誤解が生まれがちです。
実際、ADHDに対する社会的偏見を示す調査も存在します。
参考:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210910/k10013250821000.html
こうした誤解は、本人の努力や成果が正当に評価されない状況を生みます。
私自身も、特性について話すことをためらう時期がありました。
これらの経験は、心理的ストレスの一因となりました。
経済的負担という現実的な問題
ADHDの診断には一定の費用がかかります。
初診料や心理検査、継続的なカウンセリング費用があります。
必要に応じて処方される薬の費用も発生します。
これらが長期的に続くと、経済的な負担は軽くありません。
医療費の継続的な支払いは、生活の圧迫につながることもあります。
心身への負荷だけでなく、金銭面のストレスも無視できません。
これらの点は、診断を受けるうえで避けられないデメリットでした。
ADHDの特性を活かすための工夫
私は診断を通して、自分の特性を強みに変える工夫を知りました。
環境を整備することは、効果の大きいアプローチでした。
視覚的ノイズを減らし、余計な物を置かないようにしました。
また、音に敏感な特性を考慮して、静かな空間を選ぶ習慣がつきました。
さらに、タスク管理アプリを使って作業を細分化するようにしました。
この方法は、タスクの抜け漏れを防ぎ大きな安心感を与えました。
チームとの協力関係の重要性
エンジニアとして働くうえで、チームとの協力は欠かせません。
私は、自分の特性を正しく伝えることの大切さを学びました。
開示することは勇気のいる行為ですが、多くの利点があります。
特性を共有することで、周囲から適切なサポートを受けられます。
場合によっては、タスクの分担を工夫してもらえることもあります。
ペアプログラミングの実施も効果的でした。
特性を理解し合うことで、チーム全体のパフォーマンスも向上しました。
まとめ:診断の意義と今後の向き合い方
ADHD診断は、私にとって大きな転機でした。
自分の特性を知ることは、自己理解の第一歩です。
同時に、偏見や経済的負担などの課題も浮き彫りになりました。
しかし総合的に見れば、診断を受けた意味は非常に大きいと感じています。
私は、環境の整備やチームでの協力によって特性を活かせると学びました。
ADHDは決して欠点ではなく、生かし方次第で強みにできます。
今後も、自分の特性を理解しながら前向きに歩んでいきたいと思います。


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